FIDESレター 2022年6月号
特集「災害時にも安心!進化系充放電設備 V2H充放電設備」
V2H充放電設備とは
V2H充放電設備(Vehicle to Home)とは、直訳すると『車から家へ』となることからわかるように、EVやPHV等の電気自動車に搭載されている高容量バッテリーに蓄えられた電気を家庭で有効活用するためのシステムや考え方を指す言葉です。一般的に電気自動車に充電される電気は乾電池と同じ『直流』です。
一方、家庭で使われる電気は『交流』なので、そのままではバッテリーに蓄えられた電気を家庭で利用することができません。そこで直流から交流、交流から直流へと電気を相互変換するための仕組みが必要となります。その役目を担うのが『V2H充放電設備』です。
EV/PHV充電の進化系
従来の電気自動車の充電については、自宅に設置されている100V/200Vのコンセントから充電す
る方法が一般的でした。その後家庭用の充電スタンドが登場、家庭用電源から電気自動車に充電するだ
けではなく、電気自動車に蓄えた電力を家庭用電源としても使える給電機能も備えるようになりました。
太陽光発電とV2H設備の相互利用
V2H設備の導入を検討する際、特に注意しなければいけないのがその種類です。現在販売されているV2H設備は、大きく分けて『非系統連系』と『系統連系』の 2 種類がありますが、特に『系統連系』型の設備が市場では主流となっています。 V2H設備で扱われる電気の系統は、V2H対応のEVやPHV等電気自動車のバッテリー、電力会社から送られる電気、太陽光発電で作られる電気の3種類です。それぞれの関係の仕方で種類が分かれています。
設置のメリット
ピークカットによる電気料金の節約
電力会社が提供する料金プランのなかには、夜間の電気料金単価を安く設定しているものがあります。この料金プランを利用し、電気料金の安い夜間にEVやPHVを充電することで自動車自体の走行コストを削減できるほか、バッテリーに蓄えた電気を昼間の家庭で利用することで、家庭全体の電気代節約につながります。
停電時のバックアップ
地震や台風、大雪等による停電が起きた場合、EVやPHVのバッテリーを非常用電源として利用することができます。昨今の自然災害の影響から家庭用蓄電池の普及が広がっていますが、EVやPHVに搭載されているバッテリーはそれよりもはるかに大容量です。車種によって性能は異なるものの、停電時における家庭の電力を最大約5日間は供給できるとされています。
SDGsへの貢献
太陽光発電を利用している家庭でV2Hを導入すると、太陽光のクリーンな電気でEVやPHVに充電して走行できるのはもちろん、夜には充電した電気を家に戻して利用することができます。再生可能エネルギーを家庭内でなるべく多く利用することにより、CO2の排出量が削減され環境にやさしい生活を送ることが出来ます。
補助金制度の活用
電気自動車やV2H設備は環境にやさしく災害対策にもなることから、導入時に補助金の交付を受けることができます。補助金の活用により家庭や個人では高コストな設備の普及、環境への配慮、災害時の対策に役立つV2H設備を、より生活に身近な存在として取り入れることができます。
補助金の申請について
フリートークコラム「ことに処して、万全を尽くす」
Fides Freetalk Formation
六月は一年の真ん中、半分にあたる月であり、年度として考えると第一四半期の締めの月となります。梅雨入りであったり、一年の中で唯一祝日のない月であったりと、あまり良いイメージがないように思えますが、実は六月は、年の残り半分をより良く充実して過ごすために、そして夏に向けて『準備』をする月ではないかと私は考えています。
私たちが働く工事業界においては、六月は雨が多く天候が安定しない為、外構工事(建物外側の工事)の日程調整が難しい月とされています。その為六月に外構工事をする場合、あらかじめ念入りに段取りをする必要があります。『段取り八分』という言葉があるように、段取りを完璧にしておくことでその仕事の八割が完成すると言われています。わが社の経営理念である『ことに処して、万全を尽くす』という言葉の通り、目標を明確にして、物事が完成するために必要なことややるべきことを全て万全に準備することが重要です。例えば安全を維持・啓蒙する為に、厚生労働省で推進している全国安全週間においては、実施の一ヶ月前が準備月間として設定されています。今年のスローガンである『安全は 急がず焦らず怠らず』という言葉通り、安全においてもしっかりとした準備が必要であることが分かります。
わが社では今期より新たに『リニューアルチーム』が設立され、私は責任者としてチームに配属されました。リニューアルチームは、建築のリニューアル工事を主体として施工管理を行います。現段階では電気工事や空調・換気・衛生工事に付随する建築の施工管理をしていますが、今後は建築改修工事を単独でご用命いただける事を目標としています。建物のレイアウト変更や改修工事の計画がありましたら、是非ともわが社にご相談ください。
一年の半ばにはなりましたが、新年度の始まりに抱いた大きな期待と目標を忘れずに、常に準備を怠らず安全に進めてまいります。二〇二二年の残り半分、皆様が健康的により良く過ごせますよう、心よりお祈り申し上げます。
今月の担当は…
常務取締役 木島 秀昭
それなに建築資材「卯建(うだつ)」
それってドーシテ?「氷のドーシテ?」
代表取締役社長 細 矢 充
フィデス社長コラム
「産学連携により『あたりまえの、先をゆくサービス』を!」
この度、放送大学学園様から受変電設備、非常用発電設備など重要なインフラ更新工事をご下命頂きました。絶対に放送事故を起こしてはならない、もしも停電させたら大学の機能が全て停止してしまう、工期は10カ月、授業や業務に差し障りないよう施工する、とても難易度の高い工事です。
今回の工事に限らず、このような停電作業の機会は年間でも数回しかなく、短時間で段取り良く進めなければなりません。関連業者とのスケジュール調整、仮設発電機の燃料補給、クレーンや仮設足場の手配など新築工事とは違った『待ったなし』の施工管理が求められます。
停電により医療機器や生産設備の動作システムに想定外の障害や誤動作が生じることもあります。作業内容・スケジュールなどについて電力会社、施設管理者や警備業者などと連携する、緻密な段取りが工事品質に大きな影響を与えます。
わが社では医療機関、製造業、金融機関など、不測の停電さえ許されないお客様から長い間ご愛顧を頂いています。工事だけではなく、高圧受電設備や空調設備の保守点検にもワンストップでお応えしています。又、お客様の施設や設備の緊急事態にも24時間365日対応して参りました。その実績が高く評価され、今回の受注に結び付いたと思います。『情報』をとても大切にしているお客様ですから「絶対に放送事故を起こさない!」を胸に無事完成させる決意を新たに施工に臨みます。
ここ数年、企業を支える経営資源は『人』『モノ』『金』に加えて『情報』の比率が特に高まって来ていると強く感じています。情報インフラの重要性が広く認識され、デジタル技術は凄まじく進歩しています。情報の伝達速度や伝達量は格段に進化し、利便性は高まり、活用範囲も無限に広がっています。
また、建物、電化製品、自動車、医療機器など、多種多様な『モノ』がインターネットに接続され、相互に情報をやり取りすることで、更に利便性を高めています。『情報』を重要な経営資源と捉え、正しく上手に活用することが企業の存続を左右すると考えられます。
建築設備の中で電気・空調・衛生設備は、神経や血管のような役割を果たします。“あたりまえの、先を行く”フィデスは、そこに頭脳を加える、設備システム全体を制御するプログラミングや情報システムを活用した新たなサービスを模索しています。
又、設備システムは、異常時には熱、振動や音でアラームを出します。それらをセンサーで拾い出し、トラブルの予兆を察知し、故障前に修理する『プレメンテナンスサービス』により、施設の機能を一時たりとも止めません。
これこそ究極のお客様第一主義だと思います。さらに我々設備業は省エネ技術、ロボット技術などを活用する未来指向の業種であり、ただ今、千葉工業大学と産学連携を進め“あたりまえの、先をゆく”サービスを研究し、開発中です。どうか乞うご期待を!