業務用エアコン点検・更新ガイド
業務用エアコン(空調機)は、快適な室内環境を保つために不可欠な役割を果たしています。特に夏の暑い時期や冬の寒い時期には、効率的で信頼性の高いエアコンがなければ、業務における生産性の低下、不快感、健康リスク(夏場の熱中症など)に直面する可能性もあります。
しかし、業務用エアコンが適切に維持管理されていない場合、機器の能力が十分に発揮されず、最悪の場合運転不能に至ります。機器本体が故障してから取り換えるなどの行き当たりばったりの管理方法では、かえって建物の運用コストが高騰してしまいます。これは工場や店舗、オフィスなど、施設を運用する企業にとっては無視できない問題です。
コストをなるべくかけずに業務用エアコンを管理するには、定期的な点検と、計画的な更新が必要です。また、業務用エアコンの特性や使い方などを今一度見直し、快適な業務環境を維持しましょう。
業務用エアコンの保守点検
業務用エアコンの定期的な保守点検は、機器本体の性能維持や故障予防、長寿命化を実現し、運用コストの削減に効果的です。また、法律によって点検が義務付けられている業務用エアコンもあります。
フィルターの点検・清掃
エアコンフィルターの定期的な点検や清掃をすることによって、空気の質を向上させ、エアコン本体の負担を軽減することができます。1~2ヶ月に一度は業務用エアコンのカバーを開け、フィルターを清掃しましょう。
フロン類が使われている業務用エアコンの点検(フロン排出抑制法)
『フロン排出抑制法』では、業務用エアコン等のすべての機器に3ヶ月ごとの簡易点検を、一定規模以上の機器には1年または3年ごとの有資格者による定期点検を義務付けています。 業務用エアコンなどの機器廃棄時に、フロン類(フロンガス) の回収が確実に行われるよう、この法律が改正、2020年4月1日に施行されました。業務用エアコンのうち、フロン類が使われているものが対象で、簡易点検や有資格者による定期点検を行う必要があります。
詳細はこちらをご覧ください。
2020年4月1日より、フロン排出抑制法が改正されました。業務用空調機・冷凍冷蔵機器の取扱がより規制が強化され、きちんとした管理が必要になります。-FIDESレター【2020年8月号】
業務用エアコン更新の目安
業務用エアコンの更新は、一般的に機器本体の故障などから行われることが多いですが、エアコンの寿命や省エネ性能、運用コストの観点から更新することもあります。
寿命と耐用年数が迫った時
業務用空調機の平均的な寿命は約15〜20年とされていますが、これはメンテナンスの状態や使用条件に大きく依存します。20年を超えるような古い機器は、故障のリスクが高まり性能も低下するため、更新を検討すべき時期と言えるでしょう。
性能の低下がみられた時
エアコンの冷暖房能力の低下や、本体の頻繁な故障や修理が発生するなど、性能の低下が顕著になった場合はエアコンの更新を検討しましょう。新しいエアコンは効率が高く、運用コストの削減にもつながります。
運用コストが増加した時
古い空調機はエネルギー効率が悪く、電力消費が多いため、運用コストが増加します。また、古い機器のメンテナンスや修理にはコストがかかり、部品の入手が困難になることもあります。これらのコストが新しい機器の導入コストを上回る場合は、更新を検討しましょう。
業務用エアコン更新工事の流れ
実際に業務用エアコンの更新工事を行う場合は、どのような流れになるのでしょうか。ここでは業務用エアコン(空冷ヒートポンプエアコン)更新工事の大まかなフローをご紹介します。
①現地調査・見積り
・設置場所、搬出入経路、電気容量などを調査
・最適なプランを提案、見積り
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②工事準備
・作業範囲や時間帯の打ち合わせ
・施工場所や搬出入経路の養生
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③既存機器の撤去
・冷媒ガスの回収(フロン排出抑制法に基づく)
・既存機器の取り外し
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④新規機器の設置
・冷媒配管、ドレン配管、電源配線などの施工
・新規機器の搬入・据付
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⑤試運転・調整
・水漏れや不良の確認
・冷媒ガスの封入、試運転、調整
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⑥完成・アフターサポート
・使用方法や注意事項の説明
・メンテナンスや保守のご案内
業務用エアコンの効率的な使い方(夏季の場合)
業務用エアコンを効率的に使用するには、機器の効率を上げることが重要です。 一般的な業務エアコンは、部屋の中の空気の熱を外に運び出すことで、室内を冷やしています。その過程の邪魔をせず、エアコンに負担をかけないようにすることが大切です。機器の効率を上げるためには、以下のような方法があります。
室外機の吹出口をふさがない
室外機は常に屋外に放熱しているため、室外機の吹出口がふさがれていると、放出した熱風を再び吸い込み、冷房効率が低下してしまいます。また、室外機のセンサーが働いて運転が停止してしまうおそれもあります。
室外機を直射日光から守る
直射日光が当たると室外機自体が高温になり、放熱効率が低下するだけでなく、室外機のセンサーが働いて運転が停止してしまうおそれがあります。すだれなどで日陰を作ることで、照り返しの熱から室外機を守りましょう。
室外機周辺に打ち水をする
室外機周辺に打ち水をすることによって、室内と室外の温度差が大きくなり、室外機を効率的に利用することができます。ただし、室外機本体に直接水をかけるのは故障の原因となるため避けましょう。
定期的な清掃
フィルター清掃はもちろんですが、定期的に専門業者による室内機の内部洗浄を行いましょう。内部を綺麗にすることで効率的に稼働するのはもちろん、清潔な空気が循環されるので快適になります。
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