FIDESレター 2022年7月号
特集「電力需給ひっ迫と対策」
2022年3月21日、経済産業省所管のエネルギー庁が、制定以来初めてとなる『電力需給ひっ迫警報』を発令しました。電力需給ひっ迫警報は、東日本大震災によって電力需給がひっ迫したことを背景に、2012年に導入された制度です。
電力の需給バランスの崩れが見込まれる場合、事前に節電協力を呼びかけることで、停電やブラックアウト(大規模停電)を防ぐことを目的としています。政府は今年の夏の節電対策として、全国の電力管内すべてに対して節電要請を行う方針です。
電力需給ひっ迫警報発令の原因と結果
警報の発令基準
他社からの電力融通など、あらゆる需要対策を踏まえても、需給がひっ迫する基準となる電力会社の供給予備率が3%を下回る見通しとなった場合に発出されます。
翌日の電力需給がひっ迫すると予想される場合は前日の18時頃、確実に見込まれる場合はこの時間よりも前に第一報が発されます。この時点では、予想される供給力と供給予備率に加え最大需要が見込まれる時間帯の告知や節電への協力要請が発表されます。さらに電力需給がひっ迫されると予想される場合(供給予備率が1%未満)は、計画停電実施の可能性も合わせて発表されます。
電力需給ひっ迫の対策
今年の夏の厳しい電力需給を乗り切るため、政府は国民や企業に対して、無理のない範囲でできるかぎりの節電に協力するよう呼びかけています。企業や家庭などにおいてできることはどのようなものでしょうか。すぐにできる対策や、省エネ設備による対策をご紹介します。
身の回りでできる対策
照明器具周り
●こまめにスイッチをオフにする
●人感・明るさセンサー付きの照明に替えて消し忘れを防止する
エアコン周り
●扇 風 機 や サ ー キ ュレーターを併用する
●室外機のまわりに物を置かない
●夏の冷房時の室温は28℃を目安にする
テレビ周り
●テレビを消すときには主電源を OFF に
●明るさ調節する前に、画面の掃除をする
●省エネモードを活用する
トイレ周り(温水洗浄便座)
●便座を使わないときはフタを閉める
●洗浄水の温度は低めにする
●省エネ/節電機能を活用する
『でんき予報』で電力使用状況のチェックを!
でんき予報は、東京電力など日本の電力会社が提供している電力需要のデータシステムです。WEBサイトなどで閲覧することができ、日ごとの予想最大電力と供給量、需給状態の見通しが解説されています。
省エネ設備でできる対策
LED照明設備
LED照明は約40,000時間という長寿命に加え、消費電力が小さく省エネです。蛍光灯などに比べ、CO₂排出量の削減・廃棄処理が容易という点で、地球温暖化防止へ貢献します。
また、照明メーカーでは蛍光灯照明器具や水銀灯(ランプ)、HIDランプなどの照明器具を順次生産終了しているため、LED照明設備への更新をおすすめしています。
デマンド監視設備
デマンド監視設備とは、最大需要電力(デマンド)の目標値をあらかじめ設定し、警報や設備の自動遮断により最大需要電力を抑制する装置です。
最大需要電力(デマンド)や電力使用量のデータを管理、また使用電力量の見える化をすることができるため、デマンドが発生する時間帯を把握し、省エネ・節電へ役立てることができます。
太陽光発電・蓄電設備
温室効果ガスを排出せず、自然の力で発電することができる太陽光発電設備と、蓄電設備の併用が人気です。太陽光発電と蓄電池を上手く連携させ、より効率よく電気を活用することで、省エネにつながります。
蓄電池にためておける電力は、電気会社から購入した電気はもちろん、太陽光発電で創った電気もためておくことができます。
次号からのフィデスレターでは、省エネに焦点をあてた特集をシリーズ掲載予定です!
フリートークコラム「働き方改革」
Fides Freetalk Formation
近年『ワークライフバランス』という言葉をよく聞くようになりました。これはワーク(仕事)とライフ(生活)のバランスを取って、自分が求めるワークライフを実現しようという考え方なのですが、いつの間にかその本来の意味合いからズレはじめ、現在では『仕事の時間を短くしよう』という時間的なニュアンスで捉えるようになっています。また、本来は『自らの意志で人生をよくしよう』という自主的・自発的な考え方であったはずが、『企業が社員のために実施すべきもの』という風潮になっています。
そこで登場したのが『ワークライフマネジメント』という考え方です。ワークライフバランスはどちらかというと企業が社員の働き方を考慮し、社員はそれに沿って働くというイメージがありますが、その一方のワークライフマネジメントは、自分自身で働き方を決めたり、コントロールしたりするというイメージです。例えば「今日は趣味の時間を満喫したいから、残業にならないように計画を立てて仕事する」、「将来、こんな仕事にチャレンジしてみたいから休日は資格取得の勉強をする」などといったことです。つまり、自分の意志で仕事と生活をコントロールし、その両方を充実できるように『自分が主体的に行動してマネジメントする』ことを指しています。
私たちは受け身的な意味合いが強いワークライフバランスから、主体的な意味合いが強いワークライフマネジメントへと、考え方を改めなければいけない渦中にいるのかもしれません。自分に与えられた時間の中で、少しでも自分の意志で決めていくこと、人生を豊かにするために自身をマネジメントすることこそが、本当の働き方改革なのではないでしょうか。仕事の成功はやりがいや生きがいにつながるとともに、私生活にも大きな影響を与えます。同様に、私生活の充実は心の安定や仕事に対する意欲向上に影響し、仕事の質にも大きな影響を与えます。仕事と生活はお互いに強く関係しているため、各々のモチベーションを高めることで、結果として企業の力につながります。
これまでは多くの企業で画一的な働き方が導入されていました。出社時間と退社時間が決められており、その時間の中で成果を出しましょう、という働き方です。しかし、コロナウイルスの流行により、出社時間をずらすフレックスや、出社しないリモートワークなど、働き方にもいろいろな形があって良いという風潮が高まっています。その半面、フェイスtoフェイスの良さや大切さも見直されてきています。正解は無いのかもしれませんが、私自身、今後も試行錯誤をしながら、より良い働き方を追い求めていきたいと思います。
今月の担当は…
取締役 マネージャー
小林 裕
それなに建築資材「欄間(らんま)」
欄間(らんま)とは、鴨居や長押と天井のあいだにはめ込む、透かし彫りされた板などのことを指します。換気や通風、または採光を目的としていますが、室内装飾としてのデザイン性が高いものも多く、日本の伝統的な建築様式のひとつとされています。欄
間の歴史は古く、奈良時代の寺社の建築にて、採光を目的に取り入れられたのがはじまりとされています。
それってドーシテ?「TOT現象のドーシテ?」
代表取締役社長 細矢 充
フィデス社長コラム『成長戦略』から『付加価値戦略』へ
先日、熊谷俊人知事を千葉県電業協会の定時総会にお招きした。
知事曰く、「千葉県は温暖な気候で豊かな緑と海に囲まれ、農産物も海産物も美味しい。しかも東京へのアクセスも良く、『住みやすい』条件は揃っている。」さらに「アクアラインや外環道路など交通インフラが整備され、企業誘致が進み、東京をはじめ他県への就労機会も増加している。『働きやすい』条件は十分に揃った、千葉のポテンシャルはとても高い」と。
いま注目されているライフスタイルの一つに『半農半X』というものがある。脱サラをして小さな畑や田んぼを持ち、米や野菜などを育てる自給自足のスローライフを送りながら、余裕時間を活かし、残りの時間を仕事や趣味など、好きなこと(X)に費やす生活様式だ。また、「週のうち半分を東京や他県で勤務、残りは環境の良い千葉県でテレワーク」という働き方を求める若者もいるという。熊谷知事の挨拶では、これら消滅可能性都市の自治体とともに移住の誘致や雇用確保についても語っており、千葉県のリーダーとして、東京依存ではない千葉の経
済圏を確立しようという『熱』を感じた。
しかし、誰もが『半農半X』を実行できるわけではない。すべての企業がテレワークやパラレルワーキングを認めることもない。形が違うにせよ、一人ひとりの生産力を強め、活動をしている地域の付加価値を高めることを忘れてはならない。企業も全く同様である。
1998年、わが社は、“正直ものが馬鹿を見ない”組織を目指して『企業内企業』の独立採算チーム制を導入した。年功序列であった組織体制をフラットなチーム体制で顧客対応力の強化を図ったのだ。
当時、私はチーム責任者として、13人のメンバーと共に、お客様を増やすこと、と、受注を増やすことに大変苦労していた。「終わらない現場はない、必ず完成できる」と信じ、兎も角、受注なくして成長も利益もなし、とチーム運営を進めていた。その結果、焦って大手サブコンの大型現場を下請け受注し、大失敗したこともある。企業内企業チーム制度の貴重な経験であり、多くのことを学んだ。そして下請けからの脱却を目指し、ローコストオペレーション、品質の向上、ソリューションと言う三つの重要な成功要因も明確に出来た。それらが今のわが社の基本的な礎となっている。
時代や市場が大きく変わろうが、商いの原理原則は変わらない。お客様の付加価値を創造し、それを提供しなければ我々は対価を頂くことはできない。今、コロナ禍により商売の価値観は大きく変わってきた。売上を拡大する『成長戦略』から、生産性を高める『付加価値戦略』に意識が変わってきた。全ての評価は、お客様に提供する価値で決まる。得意なスキルで付加価値を生み出し、お客様のお役に立つ、更に、社会に貢献出来たなら、社員は心から生き甲斐、働き甲斐を感じるに違いない。『意欲と意志に満ちて働ける社内環境を創り、成果に見合った適正な報酬を配分する』この人間尊重の経営理念こそ、企業存続の大きな要因となると信じる。
私はリーダーとして、これからもフレキシブルな働き方で高付加価値な企業を追求し続けていく。