FIDESレター 2025年3月号
環境に優しく、適切な処理を!知ろう!排水設備


2025年1月に埼玉県八潮市において下水道管の破損に起因すると思われる道路陥没が発生し、トラック1台が巻き込まれる事故や、近隣住民等約120万人に下水道の使用自粛を要するなど、大きな影響を及ぼしました。普段私たちが何気なく利用している排水設備ですが、その必要性や重要度について、知っておきたいポイントを含めてあらためて考えてみましょう。
基本的な排水の仕組み
▼排水にはどんな種類がある?
排水は基本的に汚水・雑排水・雨水の3種類、家庭以外の排水(厨房排水・特殊排水)を含めると全部で5種類の排水に分けられています。それぞれの排水がしかるべき経路を経て下水道(もしくは川や海)へ流れていきますが、特に厨房排水や特殊排水などの場合は、排水前に油や食べ物のカス、または有害物質などをあらかじめ取り除いてから処理をする必要があります。

汚れや汚染がひどい排水については、基本的には排水する側が綺麗にしなくてはいけないんだね!

▼下水の排除方式は大きく分けて2種類
排水は地中に埋められている下水管を通って下水処理場まで運ばれますが、下水道の排除方式には、「合流式」と「分流式」の2種類があります。汚水(雑排水)と雨水を同じ管路で排除する方式を「合流式下水道」、汚水(雑排水)と雨水を別々の管路で排除する方式を「分流式下水道」といいます。これらは各地方自治体によって方式が異なり、地形や人口密度など、地域の特性に合わせて採用されています。

▼下水道以外の汚水処理方法は?
下水道以外の汚水処理方法にはいくつか種類があります。まず「農業集落排水」は農業振興地域内の農業集落を中心に整備される事業形態です。(農村下水道とも呼ばれ、生活雑排水やし尿の処理のみを対象とします)また、下水道区域外の団地や集落などに設置されるコミュニティプラント(地域し尿処理施設)や「合併処理浄化槽」の設置なども、汚水処理の方法として挙げられます。(下記記事参照)

排水を綺麗な水に変える設備
*合併処理浄化槽
合併処理浄化槽は、汚水や雑排水などの生活排水をそれぞれの家庭できれいにする為、下水管未整備の家庭などに設置されます。仕組みは下水道とほぼ同じで、浄化槽の中でろ過や有機物の分解、消毒などを行い、綺麗に処理された水を川などに放流する仕組みになっています。


*グリーストラップ(グリース阻集器)
グリーストラップ(グリース阻集器)とは、厨房の排水に含まれる生ごみや油脂が直接下水に流れてしまうのを防ぐ装置です。グリーストラップを設置していないと、厨房から発生した生ごみや油脂(グリス)が配管の詰まりの原因となったり、直接下水道に流れて自然環境に悪影響を及ぼします。そのため、飲食店などの業務用の厨房にグリーストラップを設置することが自治体によって条例にて義務化されています。(東京都では下水道条例によって規定されています)また、グリーストラップの底に溜まった沈殿物(汚泥)は産業廃棄物となるため、取扱いのある専門の産業廃棄物処理業者に依頼して処理をする必要があります。

わたしたちに出来ること
●油や熱湯を排水管に流さない
排水管に油や熱湯を流すと、排水管や下水道管の内部が詰まったり、配管が変形して破損してしまう恐れがあります。

●落ち葉やゴミを排水桝に捨てない
落ち葉やゴミが排水桝に入ると、雨水が下水管に流れ込まずに道路が冠水したり、またそのゴミが下水道管を詰まらせたりします。

フリートーク・コラム「次世代型測定器の魅力」
春の訪れが感じられる季節となりました。日ごとに暖かさが増し、新たな活力を感じる時期です。訪れる春と共に、自身ももっと成長していきたいと思う所存であります。人だけではなく、身の回りの「モノ」も進化し、日々便利になっております。例えば、私たちフィデス社員が働く建設業界においても、様々な機械の助けを借りており、中でも建設現場において重要な機械のひとつに「測定器」が挙げられます。この測定器が年々進化を遂げているのです。
測定器はその名の通り、対象物の長さや重さ、温度などを測定する機器のことです。長さを測るノギスや温度計など、色々な測定器がありますが、とりわけ私が業務で使っているのは電流値を測るクランプメーターや、照明の明るさを測る照度計など、電気に関する測定器になります。これらの測定器は昔から存在していますが、最近では「Bluetooth通信機能」が搭載された測定器が登場しています。
Bluetoothは近距離無線通信における国際標準規格の機能であり、イヤホンやPCのキーボード、マウスなど、私たちの身の回りにある様々な機器にも搭載されています。この機能の最大のメリットは、「国際標準規格」にあると私自身は考えています。これまでの測定器にも、無線通信機能が搭載されたものは存在していましたが、測定器本体と専用端末(受信機など)という一対一の構成になっているものが多くありました。まずPCを起動させて、専用端末をPCに装着、本体で測定されたデータを専用端末を介してPCに保管し、PCからデータを確認し、しかるべきところへ保存する…など、意外と手間をかけていたものです。
その点、Bluetoothの通信機能であれば、同規格が搭載されているスマートフォンやタブレットなどでデータ管理をすることができるので、屋外などPCが利用できない現場でも測定結果をリアルタイムでデータ送信することが可能になります。従来のような測定結果の目視、手書きの記録などの必要がなく、記録忘れや読み取りミスなどのヒューマンエラーが起こらず、素早く一人で測定・記録が出来るのです。
また、測定データを一度に複数のデバイスに送信できるため、社内での情報共有が円滑になり、作業の効率化が図れ、試験成績書作成やデータの分析もスムーズに行えるようになります。加えて、測定データをクラウドや専用アプリに保存することで、過去のデータへのアクセスが容易になります。長期的な分析や故障予知が可能となり、建物の設備管理や保守の計画をより正確に行うことができます。
進化した測定器は「測るだけ」ではなく、「頼れる相棒」となるのです。これからも最新の技術をもっと取り入れ、私たち技術者の業務が更に進化できるよう、「春の息吹」の如く邁進してまいります。
※BluetoothはBluetooth SIG, Inc. が所有する登録商標です。
今月の担当は…
東京・ベイサテライトO
マネージャー
小川 邦雄

それってドーシテ?「殺菌と除菌」のドーシテ?

フィデス社長コラム
『経営の原点』から並木鷹男会長を偲ぶ(最終回)
創業以来、わが社の歩みは「お客様第一主義」という揺るぎない信念とともにありました。「お客様に満足していただくことが最優先」「お客様なくして、わが社の存在はない」――そうした想いを胸に、私たちは日々、ひたむきに努力を重ねてきました。万が一、お客様の施設に不測の事態が発生した際には、昼夜を問わず、365日24時間、1時間以内の到着をお約束し、愚直に実践し続けてきました。それは、「お客様第一主義」そのものを貫く経営の姿勢の表れの一つです。
しかし並木会長は、ある時から「お客様第一主義は、実は社員満足の裏返しなのだ」と、こう語るようになりました。この言葉を口にするまでに、長い葛藤があったに違いありません。というのも、会長の経営の師である一倉定先生は、「成熟していない企業がこの理念を掲げると、社員が勘違いし、お客様を蔑ろにしてしまうことが往々にして起こる」と説いていました。そのため、長らく心の内に秘めていたのでしょう。そして、この思いが発せられた瞬間こそ、わが社がある程度の域に踏み入れた証だったのかもしれません。また、社員一人ひとりが生き生きと働き、成長することでこそ、心のこもったサービスが生まれる――その確信に至った瞬間でもあったのでしょう。
数値にも表れています。わが社は35年以上にわたり、「お客様の声アンケート」を実施し、お客様満足度を定点観測してきました。厳格な「お客様第一主義」のもと、評価は5点満点中4.8点という高水準を維持していました。一方で、実施した社員意識調査では、驚くべき結果が出たのです。「社員の幸せのために誠心誠意努めてきたはずなのに」――そう信じていた会長の前に現れた数値は、まさかの3.0点。この結果に、並木会長は衝撃的に心を痛めました。そして、ただちに行動を起こしました。
①社員の声を直接聞くために、酒席を交えた「ワイガヤ」での意見交換の場や、「夢を語る」場を設置。②「経営陣や幹部会議で何が話し合われているのか分からない」という社員の声を受け、社内情報の完全開示。③評価の前後で上司と納得するまで面談を重ね、自由に意見を発表できる風土の醸成。④長時間労働が当たり前だった業界慣習を打破し、年間休日125日を確保するなど、働き方改革に取り組む。 ⑤若手社員の積極採用、女性技術者の登用、永年雇用の推進にも力を注ぐ。
この取り組みにより、現在では「お客様の声アンケート」の満足度は4.6点、社員意識調査は4.02点と着実に向上し、社員の充実感とともに、お客様からの評価も維持されています。さらに、経営計画書を通じて会社の理念や方針を全社員と共有し、「信じて任せる」信任経営への転換を図りました。「お客様満足度」と「社員満足度」の両方で満点を取ることこそが、並木会長が目指した「わくわく創造Company」の実現なのです。そのマイルストーンとして掲げた売上30億円の目標、「Trans30!」。決して、単なる売上を追い求めたわけではありませんが、「30億円企業になれば、見える景色が変わる。情報や人脈、そして世間の評価が変わり、社員が幸福感を感じる」――そう信じていたのです。残念ながら、その景色を並木会長とともに見ることは叶いませんでした。しかし、私たちはわくわく創造Companyを目指し、歩き続けます。皆様からの信頼にお応えするために、「お客様第一主義」を進化させ、より良いサービスを追求してまいります。そして、近い将来、私たち全員でその新たな景色を眺めたとき、――その時こそ、並木会長の笑顔が、そこにあるはずです。
9回にわたり、並木会長をご一緒に偲んでいただき、心より感謝申し上げます。


